BIM実装ロードマップ
4.マネジメントレベルのBIM推進

4.2 図面精度とBIMモデル精度の基準化

これからはじめるCDE&Forma
共通データ環境活用術

  • 共通データ環境(CDE)とは
  • BIMの情報共有をもっと楽にするポイント
  • Formaでのファイルとプロセスの共有方法

BIMで数量や仕様を扱うためには、図面としてどこまで表現するかと、BIMモデルとしてどこまで入力するかを分けて考える必要があります。見た目の細かさだけを求めると、過剰な作り込みが増えます。

一方、BIMモデル精度が不足すると、数量や属性を正しく拾えません。本節では、図面精度とBIMモデル精度を分離し、全体で同じ粒度でモデリングするための基準を整理します。

4.2-1
図面精度とBIMモデル精度を分けて定義する

図面の細かさと、BIMモデルの使いやすさは違う

図面精度は、成果物として必要な表現や読み取りやすさを示します。一方でBIMモデル精度は、数量、仕様、変更確認に使えるだけの形状と属性が入っているかを示します。

両者を混同すると、不要に細かい形状を作り込んだり、逆に図面は整っていても集計できない状態になったりします。まずは、図面で必要な表現と、BIMモデルで必要な情報を分けて定義します。

図面の細かさと情報活用の基準を分離して考える

① 精細度(形状の細かさ)
② 情報量(BIMの情報量)


最高の価値を生む!
両軸が最適で初めて実現

区分主な確認対象評価の観点
図面精度表現・寸法・注記・紙面体裁読み取りやすいか
BIMモデル精度カテゴリ・属性・数量・
変更追随
情報活用できるか

4.2-2
全体で同じ粒度でモデリングする

ばらつきはモデル、属性・手法に分けて考える

ばらつきは、主に「モデル」「属性」「手法」の3つに分けて確認します。モデルは作る精度の違い、属性は情報の入力先や形式の違い、手法は、同じ内容をどの方法で表現するかの違いです。

入力としては正しくても、組織としてのルールがなければ、数値や仕様の扱いがばらつきます。ここでは3種類を切り分け、何をどの粒度で拾うかを組織ルールとして定め、入力粒度を統一します。

注意

BooT.oneを利用している場合、標準を故意に改変しなければ属性・手法のばらつきは抑えやすくなります。
運用時は、モデル粒度の違いを重点的に確認します。

ばらつきの3パターンと結果

4.2-3
フェーズ別の入力基準を定める

どの段階で何を入力するかを決める

すべての情報を最初から入力しようとすると、導入初期の負荷が大きくなります。企画、基本設計、
実施設計、申請、施工連携などのフェーズごとに、必要なBIMモデル要素と属性を決めます。

初期は大まかな配置と数量確認を優先し、詳細化が進む段階で材料、仕様、防火、メーカー情報などを追加します。段階を分けることで、過剰入力と入力漏れの両方を防ぎます。

ポイント

フェーズは目安であり、基本設計時に施工連携の内容が分かっていれば入力して良い。
※ここで言うフェーズはRevitの「フェーズ」ではありません。

フェーズ別の入力基準

フェーズBIMモデル要素必須属性成果物完了条件
企画ボリューム、
面積
用途、面積面積表概算判断
基本設計壁、床、建具、部屋種別、寸法、
部屋名
一般図、面積表主要数量
申請法規関連要素区画、用途、
面積
申請図法規確認
実施設計仕上、建具、
仕様
材料、性能、
防火
仕上表、建具表仕様説明
施工連携施工関連情報メーカー、型番施工連携資料引き継ぎ

4.2-4
2D補完の境界を明確にする

2Dで補う範囲は、理由と承認をセットにする

BIMでも、法規線や概念表現など、2Dで補完した方が現実的な情報はあります。ただし、2D要素はBIMモデルの数量や属性には反映されないため、安易に増やすとBIMモデル品質の確認が難しくなります。

2D補完を使う場合は、理由、対象ビュー、影響範囲、承認者を明確にし、後から見てもBIMモデル由来の情報と補完情報を区別できるようにします。

ポイント

2D補完は「禁止」ではなく「管理」します。判断基準がないまま使うことが問題です。

2D補完の判定フローと管理原則

4.2-5
この節の要点

ここまでのまとめ

  • 図面精度は表現の基準、BIMモデル精度は情報活用の基準として分けて定義します
  • 数量を拾うためには、担当者全員が同じ粒度でモデリングする必要があります
  • フェーズ別に入力項目を決めることで、過剰入力と入力漏れを防ぎます
  • 2D補完は理由、影響範囲、承認、記録をセットにして管理します

これからはじめるCDE&Forma
共通データ環境活用術

  • 共通データ環境(CDE)とは
  • BIMの情報共有をもっと楽にするポイント
  • Formaでのファイルとプロセスの共有方法
落井 純一(おちい じゅんいち)
j.studio 代表
建築設計事務所「j.studio」代表。2011年よりBIMを設計業務に導入し、現在では業務の約95%をAutodesk Revitで完結させている。設計初期から詳細データを構築するフロントローディングにより、手戻りのない正確かつ合理的な設計を追求。小規模事務所ながら質の高い設計と年間十数棟の生産性を両立し、実務に即したBIM活用法の知見を通じて建築業界のDX推進に貢献している。