BIM実装ロードマップ
4.マネジメントレベルのBIM推進

4.1 BIMを利用したマネジメントへ移行するための評価軸

これからはじめるCDE&Forma
共通データ環境活用術

  • 共通データ環境(CDE)とは
  • BIMの情報共有をもっと楽にするポイント
  • Formaでのファイルとプロセスの共有方法

BIMを定着させるには、Revitを操作できる人を増やすだけでは不十分です。BIMによるマネジメントでは、BIMを「図面作成ツール」ではなく、数量・仕様・変更・コストを判断するための情報基盤として位置付ける必要があります。

本節では、図面の見た目ではなく、BIMモデルと属性情報の質を評価軸に置き、数量を拾えるBIMモデルを基準にして、BIMを業務改革とコスト意識につなげる考え方を整理します。

4.1-1
図面ではなく「BIMモデルの質」で判断する

成果物の評価軸を、見た目から情報の正しさへ移す

従来のCADでは、最終的な図面の見た目が品質判断の中心でした。BIMでは、見た目だけが整っていても、BIMモデルに正しいカテゴリ、属性、数量情報が入っていなければ、後工程で活用できません。

確認すべき対象は、図面の体裁だけではなく、BIMモデルから必要な情報を取り出せるか、タグや集計表に正しく展開できるかです。

ポイント

BIM導入の評価を「作図時間の短縮」だけに置くと、初期の入力負荷ばかりが目立ちます。数量、変更、整合、コスト判断に使える情報を作れているかを評価します。

図面とBIMモデルそれぞれの評価軸

図面中心の評価BIMモデル中心の評価
見た目の整いBIMモデルとして実在しているか
注記の整い属性情報の入力
線・寸法の整い数量集計の可否
紙面の完成度変更追随・情報展開

4.1-2
ファミリ命名ルールを定義する

拾えない情報は、判断材料として使えない

BIM経営では、数量を拾えることが重要な品質基準になります。部材、部屋、仕上、建具などが正しいカテゴリと属性で入力されていれば、集計表を通じて数量や仕様を確認できます。

BIMモデル化されていない要素や、属性が空欄の要素は、数量・仕様・コスト判断に使えません。マネジメント層は「数を拾える状態」をBIMモデル品質の最低条件として定めます。

ポイント

「数量」には、建具の個数のような「正確な数量」とマテリアル(壁の下地等)のような「目安の数量」が混在する。その特性を理解し、手がかりとなる「数量」が拾える状態にすることが重要である。

数量を拾うためのBIMモデル条件

対象必要な条件数量化できる項目確認方法
部屋部屋配置・名称・面積面積表部屋集計表
カテゴリ・タイプ・構成壁数量・仕様壁集計表
建具建具種別・寸法・性能建具数・仕様建具表
仕上材料・部位・範囲仕上数量マテリアル集計表
外構配置・種別・属性外構数量外構集計表

4.1-3
コスト意識を意思決定に接続する

BIMモデル品質を、コストと変更判断につなげる

BIMモデルから数量と仕様を取り出せると、設計変更の影響範囲や概算コストを把握しやすくなります。BIM経営では、BIMモデルを作ること自体を目的にせず、数量、仕様、変更、コストの判断に使える情報へ育てることが重要です。

まずは、すべての数量を正確に積算させるのではなく、数表や仕上表を判断材料として使う運用から始めます。

参考

完璧なコスト連携を目指さない

正確な数量出しには、それに対応した詳細なモデリングが必要です。完璧な数量出しを目指すより、数量と仕様を確認でき、説明できる状態を作ることが重要です。

BIMモデルからコスト判断へ

数量と仕様を説明できる状態から始める

4.1-4
この節の要点

ここまでのまとめ

  • 成果物の評価軸を、図面の見た目からBIMモデルと属性情報の正しさへ移します
  • 数量を拾えないBIMモデルは、BIM経営の判断材料として使いにくくなります
  • まずは数量表や仕上表を使い、BIMモデル品質をコスト意識と意思決定につなげます

これからはじめるCDE&Forma
共通データ環境活用術

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  • BIMの情報共有をもっと楽にするポイント
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落井 純一(おちい じゅんいち)
j.studio 代表
建築設計事務所「j.studio」代表。2011年よりBIMを設計業務に導入し、現在では業務の約95%をAutodesk Revitで完結させている。設計初期から詳細データを構築するフロントローディングにより、手戻りのない正確かつ合理的な設計を追求。小規模事務所ながら質の高い設計と年間十数棟の生産性を両立し、実務に即したBIM活用法の知見を通じて建築業界のDX推進に貢献している。