清水建設、BIM全社展開を支える「応用技術」の開発力とサポート - toBIM - 建築BIM総合支援サービス

清水建設、BIM全社展開を支える「応用技術」の開発力とサポート

清水建設株式会社 BIM活用事例

清水建設のBIM活用事例として、プロジェクトの進行に合わせたAutodesk Revitを中心とするシステムの柔軟な機能開発とヘルプデスクを軸に、現場での利便性向上とBIM普及の加速を両立する仕組みの構築を紹介します。

左:三戸景資さん、右:櫻井沙緒里さん

現場に根ざした機能開発とサポート体制、BIM文化の社内定着と加速に貢献

建設業界においてBIM(Building Information Modeling)の導入が加速する中で、清水建設は、その可能性を最大限に活かすため、応用技術との連携によるBIM支援体制の強化に取り組んでいる。柱となるのが、プロジェクトの進行に合わせたAutodesk Revitを中心とするシステムの柔軟な機能開発とヘルプデスクを軸に、現場での利便性向上とBIM普及の加速を両立する仕組みの構築だ。その舞台裏を清水建設建築総本部生産技術本部建設DX基盤部の部長 三戸景資さんと同部のリエンジニアリンググループ櫻井沙緒里さんに聞いた。

「現場で使えるBIM」を目指し、応用技術とタッグ

 清水建設が応用技術のBIM支援サービスを導入したのは、社内でのBIM活用の裾野を広げることを目的とした取り組みの一環だった。特に設計・施工フェーズでの情報連携や図面管理の効率化は、現場の生産性に直結する課題であり、それを解決するパートナーとして応用技術に白羽の矢を立てた。清水建設では、BIMに関連するアプリケーションはAutodesk RevitやAutodesk Construction Cloud(ACC)など、オートデスク製品で統一している。応用技術はオートデスクの公式パートナーに認定されており、Autodesk Revitでの設計効率を向上するアドインツール「BooT.one」を開発するなど技術力に定評がある。

「応用技術とは、もともとBIM以外のソリューションでもつながりがあり、信頼感がありました。導入当初は、他社の支援サービスとの比較検討も行いましたが、われわれの要望にきめ細かく対応してくれた点や優秀なエンジニアの存在、システム開発の柔軟性、なにより現場の視点を踏まえた対応力が決め手となりました」

導入当初から、開発フェーズにおいて応用技術と密なやりとりが行われており、定期的な打ち合わせを通じてニーズをすり合わせていったという。その結果、清水建設のBIM推進における黎明期から”伴走”は10年ほど続いている。

困難も着実に乗り越えた「連携力」

実際の開発では、建築特有の専門性が壁になることもあった。特に鉄骨や鉄筋の納まりといった詳細な建築技術は、外部のエンジニアにとっては一朝一夕では理解が難しい領域だ。

「かなりの時間をかけて、清水建設独自の業務や文化を理解してもらう必要がありましたが、応用技術の方々は一歩一歩、丁寧に理解を深めてくれました。今では多くのシステム開発や仕様調整に深く関与してもらっています」

要望への対応もスピーディーかつ的確だ。

「弊社側のリソース不足で対応が遅れることもあるのですが、応用技術さんの方が先回りして準備してくださることも多く、むしろ申し訳ないくらいです」

現場に根ざしたサポート──”100件質問したBIMモデリング担当者”の成長

BIM支援におけるもう一つの柱が「運用支援」だ。現場でのAutodesk Revitを活用したBIM定着には、継続的な伴走が欠かせない。そのため清水建設は、応用技術とともに専用ヘルプデスク体制を構築。モデルの操作方法からツールの不具合対応まで、日々の業務を支える体制を整えた。

印象的なのは、「半年で100件以上質問したBIMモデリング担当者」の存在だという。

「最初は”どのボタンを押せばよいか”という初歩的な内容からのスタートでしたが、今では実案件をスムーズにこなせるまでに成長しています。ヘルプデスクを活用して反復学習を重ねた好事例だと思っています」

清水建設では、ツール導入から業務への落とし込みまでを自部署が担い、その後の「反復と定着」の段階でヘルプデスクが支援するという明確な役割分担を敷いている。

「Autodesk RevitやACCだけでなく、モデリングを支援する自社開発アドインと幅広くBIM関連システムをカバーし、単なるQ&A対応にとどまらず、現場に寄り添う運用フェーズで応用技術の支援が真価を発揮しています。電話でのサポートが受けられることも、問題解決への近道となり、利用者にはとても好評です」

「不明な現象」を”現象”として正しく捉える

特に評価しているのが、トラブル時の「初期切り分け」だ。

「『なぜか動かない』『うまくできない』という声は、ツールや教育カリキュラムを見直すチャンスでもあります。ただ、不明な現象を正しく切り分けて検証するには、相当な知見が求められます。以前はスキルの高い社内担当者が対応していましたが、負荷が集中しがちでした」

応用技術の支援により、問い合わせに対してはまずヘルプデスクで一次切り分けを実施。その結果を蓄積・分析することで、清水建設側は”検証済みの状態”からその後の対応を開始できるようになった。

「この体制は本当に助かっています。さらに問い合わせのデータを月次レポートとして分析することでサポート体制のPDCAサイクルを確立し、着実なノウハウの蓄積につながっています」

「クラウド×BIM」や「DB活用」など、構想も拡大

今後の展望としては、クラウドリソースとBIMとの融合、さらには高性能なデータベース(DB)としての活用にも期待を寄せている。

「BIMモデルは”3Dモデル”だけでなく、”建築情報のデータベース”と捉えています。今後、汎用DBとの連携や高速なデータ処理基盤とつながっていくことで、業務での活用範囲がさらに広がっていくと確信しています」

すでに清水建設では、一部の業務でクラウド上に構築したBIM連携プラットフォームを活用している。高スペックPCが必須とされるBIM業務において、クラウド化は、機器制約のある一般ユーザーへの展開を可能にする解決策でもある。

さらに発展的な取り組みとして、清水建設では、建設業界全体でのDX推進にも尽力している。その一環として、同社と竹中工務店、NTTコミュニケーションズの3社で建設現場の工程関連データを連携させた「施工管理業務のDX」の取り組み進めている。

「BIMの取り組みについては応用技術の支援もあり、当社内では定着しました。次のステップとして、さらなるDX推進のため、工程や作業の情報の標準化を建築業界全体で取り組めればと考えています。この取り組みには、応用技術のシステム開発力とサポート体制の支援に期待しています」   

信頼と柔軟性に裏打ちされた「相談できる存在」

応用技術の魅力は「柔軟性」と「相談しやすさ」に尽きるという。

「社内でも”困ったときは応用技術さん”という感覚があります。何でも相談できて、こちらの意図をくみ取った上で提案までしてくれる。社内からの評判も非常に良いです」

現場担当者や設計スタッフ、モデラーやコーディネーターといったさまざまな立場の社員が日々問い合わせを寄せる中、「誰に聞けばいいのかわからない」という声を拾い上げる仕組みとしても機能している。

“一緒に創る”パートナーとしての信頼

BIMの本質は「組織内の情報をつなぎ、価値に変える」ことにある。その実現に向けて応用技術は、清水建設にとって、ただの技術支援会社ではなく、”一緒に創っていくパートナー”となっている。

「これからも、新しいことに一緒にチャレンジしていきたい。業務を理解し、柔軟に動いてくれる応用技術さんとなら、BIMの未来を切り拓けると思っています」

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