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10D BIM続き

2025.06.06

前回は3Dから7Dまでを概説しましたので、今回は8Dから10Dまでを考えてみたいと思います

8D BIM: 安全

設計および施工段階における安全性がターゲットです。施工現場での安全に関しては現場管理をされている皆さんにとっては日常だと思います。 VRやARなどで安全のシミュレーションやヒヤリ体験などを通したソリューションが提供されていますので、安全トレーニングや現場新規入所者教育等、様々な形で3Dが活用されていると思います。あえてBIMを意識することはなく、実寸情報を持ったBIMのモデルが2次的に使われるような場面は多く存在すると思います。

一方で「8D BIM」は設計段階の安全配慮にもフォーカスしているようです。日本の建築業界において設計者が施工/仮設計画まで検討することは稀だと思いますが、土木の世界(建設コンサルタント)では、設計とともに施工に関する計画検討案も作っていると聞きます。土木事業の施工計画や仮設計画は一般的な建築物よりも大がかりになることが多いので、発注者が発注価格の試算に必要な情報であるという面からも必須だと考えられます。

では、日本の建築設計業界で安全に配慮した設計が求めらるのかという点で2つの視点が出てきます。

  • すでに行っている
  • そこには入り込まない

すでに行っている

建築基準法及び関連法に建物の安全に関する様々な規定があります。 地震国日本における構造的な安全性確認、火災などの発生時の避難や防火防炎に関する安全性の確認。24時間換気、日照権等も人としての安全面に配慮しています。

これらは、特に「8D BIM」として定義することなく、BIM以前の問題として片づけることができます。今後のBIM図面申請等でこの辺りのチェックが自動的に行われる時が来れば、BIMとの親和性は高まります。

そこには入り込まない:

設計者が施工計画や仮設計画に踏み込むことは、今後も起こらないのではと想像します。欧米の建築家は求められる立場にあると思われますが、日本では施工会社が行うものと位置づけられ、施工会社もそれが請負内容の一部だと認識していることもあり「そこには入り込まない」とカテゴライズしました。

上記の内容から見て、「8D BIM:安全」のプレイヤーは基本的に施工会社であると考えることができ、日本では施工管理向けのソリューションがこのカテゴリになると考えられます。

  • Reconstruct 360度カメラ映像で現場管理を効率化する

9D BIM: リーンコンストラクション

リーンコンストラクションは、「無駄のない建設」などと訳されます。

リーン生産方式は、もともとトヨタ自動車の生産方式が起源で、トヨタの生産方式を研究した大学の研究から出てきた言葉が「リーン(lean)」とされています。トヨタの生産方式を理論立てて整理し体系化、一般化したものをリーン生産方式と呼んでいます。

このリーンを建設に導入するカテゴリが「9D BIM:リーンコンストラクション」です。

無駄の対象には下記があげられます

  • 資材の無駄
  • 時間の無駄

資材の無駄

目に見えてわかりやすいのが資材の無駄です。建設現場では様々な産業廃棄物が発生しています。 適正な処分のためにどの段階で仕分けて適正に処理するかは、現場の状況やその地域で受けられるサービスによってさまざまな検討が行われていると思います。ただ、現場で取り扱う部材種類が多いため、それぞれから発生する廃棄物を適切に処理するプロセスは簡単ではありません。

一方、建設資材を加工製作する工場でも様々な資材の無駄が生じています。ただ、工場においては取り扱い資材の種類がある程度限定されることから、リユースやリサイクルへの対応が進めやすいため、こちらは建設現場よりも様々な取り組みが行われています。

そのような資材の無駄に関しては、モジュール化や標準化を促進し、部材の工場生産化(プレファブリケーション)を図ることが一つの解決策だと言われています。部材はできるだけ工場で製作してもらい、現場はその部材の組み立てを行うという施工方式です。これはパソコンの中でBIMのモデルをつくるプロセスに似ています。BIMも基本的には部品を用意して、それらを配置することでモデルを完成させるイメージです。 したがってこのモジュール化や標準化はBIMにとっても得意分野であると言えるでしょう。
モジュール化でよく例に出てくるのが、シンガポールのPPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)です。興味のある方は調べてみて下さい。

時間の無駄

建設業は不測の事態の発生率が非常に高い分野です。天候、交通事情、人の手配などスケジュールに影響を及ぼすが計画しきれない要素がたくさんあります。

このような現場における時間の使われ方も、モジュール化や工業化が進むと時間の乱れが少なくなると考えられます。ただ、モジュール化や工業化はすぐに実践できるものでもありません。そのような中で、コミュニケーションという部分にフォーカスするのも一つの手かと思います。 正確な情報の存在と共有は結果として無駄な時間を省いてくれる要因になります。現場で働く人のベクトルが同じ方向に向くと品質の向上にも寄与すると考えられます。

リーンコンストラクションを体系的に行うためのツールも存在すると思いますが、まずは情報共有=CDE環境の構築をお勧めします。

10D BIM: 建設の工業化

最後に10D BIMです

10D BIMは、工業化にフォーカスされたディメンジョンではなさそうです。建設の工業化を推進させ、生産性そのものの向上がゴールとすることを目指します。

こうなると、現時点においてはBIM自体のゴールのような位置づけですね。

今更ですが、BIMとは?

  • BIM is an intelligent 3D model-based process
  • BIM provides insight for creating and managing projects faster, more economically, and with less environmental impact.

これは2010年ごろにBIMの定義として紹介していた言葉です。 正直当時は何を言っているのかよくわかっていたわけではありませんでした。ただ、2Dから3Dへの過渡期としてまず3Dが必要で、この3Dモデルの中には様々な属性情報が自動もしくは手動で保持できるから拡張性があるという論調で説明してことを思い出します。

今見返すと3D BIMから10D BIMまでの内容は、すべて上記の短い文に包含されていたことがわかります。

BIMに3次元デジタルモデル情報があることの必要性は、人間が視覚情報として認識しやすいことに起因していると思われますが、AIの発達によって視覚情報そのものが生成される側に位置すると、3次元デジタルモデル自体の存在も必要なくなるかもしれませんね。

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