ConnecT.one QSで加速する施工現場でのBIM活用。仮設機材レンタルのパイオニアSUGIKOが描く「仮設BIM」への挑戦
多くの企業で課題となりがちな「施工現場でのBIM活用」をテーマに、SUGIKOの足場BIM支援で欠かせないツールとなった「ConnecT.one QS」の導入による効果、そして足場BIMのパイオニアとしての今後の展望について紹介します。
株式会社杉孝 ConnecT.one QS活用事例

安全で高品質な足場「アルバトロス」を提供する株式会社杉孝(以下、SUGIKO)は、建築現場をはじめ、プラント、橋梁、鉄道など、幅広い分野で豊富な実績を持つ仮設機材の専門会社です。

近年は仮設機材レンタルだけでなくメタバースやBIM・3Dスキャンなど最先端の技術を積極的に活用した「安全教育」や「現場の生産性向上に貢献するサービス」も提供しています。
メタバース空間で足場の組み立て研修を実施する事で、作業員が安全対策や効率的な作業方法を学ぶことができる「メタバース足場組立教育」は現場監督の研修や新入社員の教育に、BIMを利用して足場計画を行うことで施工レベルの足場モデルの提供、数量算出への活用につなげる「足場施工BIM支援サービス」は現場の働き方改革が急務となっている建築現場を中心に年々需要が高まっているサービスとなっています。
今回は、多くの企業で課題となりがちな「施工現場でのBIM活用」をテーマに、SUGIKOの足場BIM支援で欠かせないツールとなった「ConnecT.one QS」の導入による効果、そして足場BIMのパイオニアとしての今後の展望について、技術部門を統括する技術営業部 部長 大久保 卓也氏、顧客のBIM活用を支援する同デジタルサービス推進課 課長 三宅 祥子氏とBIMサポーター 鈴木 潤氏にお話を伺いしました。
SUGIKOのBIMへの取り組み

2次元図面をベースとした積算や足場計画の立案から発注業務をより効率化するため、SUGIKOでは2018年からBIMの導入を開始しています。
大久保氏「BIMコンサルティングで豊富な実績を持つ応用技術さんには、BIM導入当初から技術的なアドバイスをもらっており、BIM推進に貢献しています。
また、SUGIKOの主力足場である『アルバトロス』のファミリデータを応用技術が提供するRevitのアドインツール『BooT.one』に搭載することで、BooT.oneユーザーであるゼネコンとの連携強化にも繋がることができました。
おかげさまで2023年には70件だったBIM案件が2024年には95件となり、年々増加傾向にあります。」
しかし、BIMを導入しても解決できないこともありました。お客様から提供される建物モデルの情報量や現場担当者様のご経験によりBIMの活用度合いが変わることです。それらの課題を解決するために、SUGIKOでは集積したBIMノウハウを活かした「BIMサポーター」という役割を設けています。
三宅氏「BIMサポーターは過去の失敗事例も共有し、お客様のBIM活用を推進するために伴走します。
足場BIMモデル作成着手前に現場のヒアリングを通してBIMモデルの精度や納期などの細かい部分をすり合わせ、モデルの完成後は検討会で現場担当者様やとび職の方と一緒にモデルを見ながら、足場施工上の障害などを解決し、計画の精度を上げています。」

さらなるBIM活用、ConnecT.one QSで数量算出の工数を70%削減

鈴木氏「BIMサポーターとして、ノウハウでカバーできる部分の対応は進んでいましたが、現場ではお客様自身でのBIMからの数量算出が難しいという課題がありました。
以前は当社で足場のBIMモデルをつくりお客様から範囲を指定いただいてBIMを使って部材の数量を算出していましたが、刻々と変わる現場の状況に合わせた数量算出に対応することは難しく、当社スタッフとのやりとりによるタイムラグが発生するケースも多かったです。
現場で数量を算出し、発注まで行えるのが理想でしたが、現場でBIMを導入して数量を算出して・・・といった作業を行うのはスキル習得や費用面からもハードルが高く困っていたところ、Non-BIMユーザーでも簡単に数量算出できるクラウドサービス『ConnecT.one QS』を提案いただきました」
ConnecT.one QSはAutodesk DocsにアップロードされたBIMモデル(Revit)を使用して、仮設部材の算出を行えるNon-BIMユーザー向けのクラウドサービスです。BIMモデル上で必要な足場の範囲を選択するだけで、簡単に部材数を算出することができます。

鈴木氏「ConnecT.one QSによって、お客様自身で必要な部材を自動で算出できるようになりました。数量算出の時間が短縮され、当社スタッフとのやりとりによるタイムラグが減っただけでなく、重量も自動計算されるため、トラックの積載量を考慮した搬入計画の決定も行えます。
また、当社の発注ツールCOLAとの連携もできるため、スムーズに発注ができます。お客様へのヒアリングによると、平均して70%も数量算出から足場発注までの時間を削減できています。」

三宅氏「数量算出までの時間短縮だけでなく、足場の数量算出状況をリアルタイムで把握できるようになったことも大きなメリットです。どこまで足場が組み立てられる予定なのか、現場担当者様、とび職の方、SUGIKOの担当者間でリアルタイムに共有できるようになったため、進捗管理が容易になったという声をお客様からいただいています。クラウドサービスならではのメリットだと思います。」
SUGIKOでは、ConnecT.one QSを単なるツールとして導入するのではなく、現場の声を積極的に反映することで、より効果的な活用方法を模索し、改善を続けています。
例えば、操作方法の習得を支援するため、ConnecT.one QSの使い方をまとめた動画を作成し、お客様に共有しています。また、よくある質問やトラブルシューティングをまとめた虎の巻となるマニュアルを作成することで、ユーザーの疑問をすぐに解決できる環境を整えています。

三宅氏「ConnecT.one QSをより使いやすくするため、応用技術と毎月定例会を開催し、お客様の施工現場における機能改善要望や課題などを共有しています。これまでに110件以上の要望を伝え、そのうち4割以上が実装されるなど、現場の声を反映した迅速な改善に大変感謝しています。」
鈴木氏「将来的には、数量算出だけでなく、積算、搬入計画、足場点検など、より幅広い業務でConnecT.one QSを活用できるようになりたいです。 お客様からは足場部材の拾い出しだけでなく、他の部材も拾えると施工現場での活用がもっと広がるのではないかと高い期待の声が寄せられています。」
施工現場で使えるBIM、「仮設BIM」を目指して
ConnecT.one QSの導入により、既存のBIM導入現場では情報共有が促進され、業務効率が向上しています。また、ConnecT.one QSをきっかけに、BIMに挑戦する企業も出てきています。
三宅氏「ConnecT.one QSはNon-BIMユーザーでも簡単に利用できるツールであるため、まだBIMを利用したことがないお客様に紹介すると、『これなら自分たちでもできそう』『業務がどのように効率化されるのかがわかりやすい』と、BIM活用のイメージを持ってもらいやすい傾向があります。ConnecT.one QSを使いたいからBIMを試してみるという、逆転の発想でBIM活用が進むケースもあります。」
大久保氏「施工段階でBIMを本当の意味で活用することが業界全体の課題でしたが、ConnecT.one QSは、足場からBIMの施工段階での活用を牽引できる可能性を秘めていると感じています。意匠、構造、設備に次ぐ、新たな分野として『仮設BIM』へつなげていきたいと考えています。」
今回のインタビューを通してSUGIKOの仮設BIMへの取り組みはこれからも進化し続けることを確信しました。応用技術はConnecT.one QSの提供を通して、施工現場で真に役立つBIM活用を目指すSUGIKOのお手伝いを続けていきます。